ついに、ついに。。
脱SESを成功させました!!
地元の情報系の大学をでて新卒でたどり着いた会社はバキバキのSES。
映えるアプリや今どきのWebサービスをつくったり、新規事業のグロースに貢献したり。
頼りがいのある上司や、仲のいい同期、才能豊かな後輩に囲まれたキラキラとしたエンジニアライフ。
はそこにはありませんでした。
色々としんどい経験をしつつも、その度に頑張っていればいずれは報われると乗り越えてきました。
そしてようやく、無駄な努力もあるとようやく理解しました。
正しい方向への努力でなければ、それは無意味に近いのです。
ハズレくじを引いたら、速やかに逃げましょう。いつまでもハズレくじを握りしめて考え込むほど人生は長くありません。
当たり前ではありますが、自分で設計してログハウスを立てたいのに、ひたすら木を切る練習だけを頑張ってもログハウスを完成させるスキルは身につきません。
キレイな丸太が作れるようになるだけです。
適切な設計であったり、材料を組み合わせる技術は身につかないのです。
SES経験10年以上ののち、WEB系の事業会社に転職した現役エンジニアが「SES」という働き方について解説していきます。
先に結論を書いておきます。
- SESは避けれるならやめておけ
- 未経験者がエンジニアへの入り口にSESを利用するのはアリ
- 現役のSESエンジニアは「続ける理由」がなければ積極的に転職を目指すべき
SESエンジニア10年目の後悔「SESはやめとけ」
地元の情報系の大学を出て、IT企業に入社したらそこはSES・派遣を事業の柱とする会社でした。
まぁ、新卒の頃はITの業態がどういうものか知らなかったもので「思ったよりつまらないけどIT企業ってこんなもんかぁ」くらいにしか思ってませんでしたし、「SES」という言葉も一般化していなかったかと思います。
「IT企業に就職したいけどSESってどうなん?」
「SESエンジニアだけどなんか違和感を感じている」
という方に向けて、SESエンジニア歴13年の私が一つアドバイスをするならばこうです。
「キャリア戦略なしでSESに飛び込むのはやめとけ」
SESという業態は良い点ももちろんありますが、受け身でいると運に左右される要素が強すぎます。
「キャリア戦略なしにSESに飛び込む」 = 「自分エンジニア人生を運に委ねること」
に他なりません。
SESの代表的なデメリットを紹介します。
SESエンジニアとは?
はじめにSESに大まかに解説しておきます。
SESとは?
SES(システムエンジニアリングサービス)とはエンジニアの契約形態の一つです。
報酬の対価として成果物が求められる請負契約と違い、時給や日数など稼働時間に対して報酬が発生する契約となります(俗にいいう人月商売というやつですね)。
客先常駐SESと派遣エンジニアの違いは微妙なところですが、派遣エンジニアの場合は「依頼主から指揮命令を受けて仕事をすること」となっています。
実態としては働く側としてはあんまり違いは無いような。。
SESと客先常駐の違い
SESと客先常駐はセットで語られることが多いと思いますが、必ずしも「SES=客先常駐」というわけではありません。
ざっくりいうと、SESは「契約形態」で客先常駐は「働き方」とイメージしてもらえると分かりやすいかも。
客先常駐でも契約形態は派遣契約や請負契約の場合もありますし、逆にSES契約で顧客の指示のもと自社で開発を行う場合もあります。
SESはブラック?
今時「ITはブラック?」という人は少ないかと思いますが、同様に「SESはブラック?」というのも主語が大きい話かと思います。
ただSESを生業としていると、嫌でも他社と協業して様々な案件をこなしていく必要があるため、過酷なプロジェクトにあたることもあります。
「どんな仕事にあたるか運次第」
なので、人によってブラックかホワイトかの振れ幅も大きいでしょう。
私の観測範囲では、コミュニケーションが得意だったり、環境の変化をストレスを感じないタイプの人はSESに向いていると思います。
SESエンジニアのデメリット
案件ガチャで生まれる不幸
SESとセットで語られることが多い「案件ガチャ」。
基本的にSESというのは他社の案件をお手伝いして、お手伝いした時間(人月)で利益を上げる事業形態です。
常に他社に依存しており、キャッシュフローを確保するためには常に人を動かし続けないといけません。
「そのタイミングに存在する案件を取りに行く」
そこには計画的な教育プランや個人のキャリアパスや技術的嗜好が介入する余地はないのです。
案件のマッチングは時の運。
いい案件が引ければ相応にスキルを積み上げられますし、アンマッチや単純作業に終始するケースも多くなります。
ここで、自分の経験を一例として紹介します。
私の場合は、初案件が長期出張でした(しかも単独;)
初の社会人生活、見知らぬ土地。たどり着いた現場は自動車組み込み系の開発プロジェクトでした。
業界に知見がある方なら知っていると思いますが、組み込み系はエンジニアの中でも特殊な世界で、さらに自動車の組み込みともなると一般的なアプリケーション開発の現場とは全く畑が違います。
つまりは「潰しが効かない」分野なのです。
一生それで食っていくなら構いませんが、こちとらそうではありません。
コレ壮大に躓いてますよね?エンジニア人生のスタート。。
当時の私は「何か想像していた世界と違うぞ」と思いつつも、「頑張れば報われる」と地元から遠くはなれた土地でひとり、日々のタスクを歯を食いしばってこなしていました。
そして数年後に無駄な努力があることを悟ります。
良くも悪くも、SESの案件ガチャはエンジニア人生を大きく左右する程インパクトがあります。
SES企業においても、最悪を避けられる位のコントロールが効く企業はあるかと思いますので、その辺を見定めてGoする必要があります。
スキルの積み上げが難しい
案件ガチャの件でも明らかな通り、SESの場合は「今参画できる案件」「条件がいい案件」が優先されるためスキルの積み上げは苦労します。
案件によって技術も言語もバラバラで一貫性がないため個人のロードマップの実現は、業務だけではほぼ不可能で個人の時間を使っての学習が必須。
フロントエンジニア、バックエンドエンジニア、インフラエンジニアなど特定分野の専門性を高めていくには非常に効率が悪いことが多いです。
尖らせたいスキルが見えてきたら、速やかに脱SESを目指すのが得策です。
受け身(意識が低い?)人が多い
私自身が意識高い系というわけではありませんし、会社によって誤差はあると思いますがWeb系や自社開発系のエンジニアと比べて受け身で技術的な興味が薄い人が多い気がします。
特に会社の先輩などSES企業に長く留まっている人ほどその傾向が強く感じました。
少なくとも身の回りでは、Qiitaやブログなど技術的アウトプットをしている人は見たことがありませんし、技術的なトレンドの話を交わすことができる人も稀。
これらは工数に対して単価が支払われる人月商売の弊害なのかもしれません。
いくら業務を効率化しても、ユーザーに有意義な提案をしても椅子に座ってる時間が長い人が評価される業態なので当然といえば当然か。
やはり周りに強いエンジニアや技術的興味の強いひとがいる方が自分の成長へのモチベーションになりますし、情報収取も捗るためそういった意味でも良いメンバーと働くことは重要だと思います。
SESは給料が安い
誤差はありますが、基本的にSESは高くありません。
私の13年目の年収は400万程でした。※地方の中小SES企業
薄給ってほどでも無いんですが、安いですし給料の頭打ちも早く伸びシロはあまりありません。
仕組みを考えれば当然。SESを使う側が求めているのは言ってしまえば「安くてそこそこ使える都合の良い人材」です。
安さがセールスポイントになっているので、SESエンジニアの給料を上げると需要と釣りあいません。
つまりは、吉野家の牛丼みたいなものなので
300円〜400円くらいの値動きはあっても600円にはならないんですよね。
会社全体としても売上は工数分で限られているため、その限られたパイを役職や評価で再分配する形になります。
割高な上位職の給料は人件費の安い若者たちに支えられているとも言えますね。
SES企業が若手の大量採用に力を入れるのはこのバランスを維持するためなのかもしれません。
会社への帰属意識は皆無
もはや言うまでもありませんが、SES会社の社員は帰属意識が薄くなります。
「月一回の帰社日に飲み会をするためだけの関係性に何の意味があるのだろう?」
と考えている人も多いでしょう。
頻繁に案件や会社を移動しているような状況だと、同期と切磋琢磨してスキルを積み上げていくというような良い関係性も築くのは容易ではないでしょう。
SESの残業・休日出勤
SESだからといって「残業が多い」「休日出勤が多い」ということはありません。
結論、参画している案件次第です。
毎日定時で帰れるプロジェクトもあれば、月60時間を超えるようなプロジェクトもあります。
しかしながら、SESで客先常駐という立場ですので「残業を断りにくい」とか「休みを取りにくい」という問題も人によってはあるかもしれません。
快適にSESをするにはコミュニケーション能力や強い意志が必要です。
SESエンジニアのメリット
とまぁ、さんざんSESを叩いたところですがもちろんメリットもあります。
キャリア戦略によってはSESエンジニアから始めるんのも有効です。
SESエンジニアになるべき人、SESエンジニアのメリットについてまとめます。
エンジニア未経験者はSESが狙い目
エンジニア未経験者がてっとり早くエンジニアになる方法としてSES企業に採用してもらうのはかなり有効。
理由は1つ
- Web系・自社開発系企業より採用ハードルが低い
- 現場でも高度なスキルは要求されない
SESは工数商売なので未経験者でも採用してくれる会社は多いです。
案件としても技術的スキルが求められないところからスタートできる可能性が高いため、まずは働きながら学ぶというスタンスで行くのならばSESは話が早いでしょう。
ピンはねすることしか頭になく、未経験者を経験者と偽らせて案件に飛ばすブラック企業もあるようなので、
最低限、転職サイトやエージェントを通してスクリーニングした中から選ぶのが安心です。
様々な業種・企業をまたいで働ける
SESとして客先常駐で働くということは、良くも悪くもとてもバリエーションに富んだ経験を積むことができます。
大手自動車メーカーに潜り込んだと思ったら、次は小規模ベンチャー。かと思えばユーザーサポート業務をやっていたり。。
環境の変化への耐性がありコミュニケーション能力に長けている人は楽しんで続けられるかもしれません。
特定の技術を積み上げるのではなく、色々な会社・現場で働きたいという人にとっては天職となる可能性もあります。
SESがゆえ高い技術力はもとめられない
SESはプロパーの下について手足として働くことが多いので「誰かの指示を受けて働けば良い」という気楽な部分もあります。
大規模システムほど枯れた技術を使用して、流れの決まった開発タスクをこなすことになるので、慣れてしまえば技術力はさほど必要としません。
例えばエンジニアとして常に新しい技術をキャッチアップし続けるのが辛い人は、SES企業で自分のポジションを確立してしまえばそれなりの待遇で安定的な働き方を目指すのも選択肢のひとつ。
まとめ「やっぱりSESはやめとけ」
メリット、デメリットがあるSESですが総合的にアドバイスするなら
「やっぱりSESはやめとけ」
となります。
もちろん、「エンジニア未経験者がエンジニアの下駄を履くために利用する」とか「SESの働き方があってそう」という理由付けがあるならばこの限りではありません。
SESはエンジニア業界の「なんでも屋さん」なので、広く浅く経験を積むことができますが、広く浅くだけではエンジニアとしての市場価値はなかなか上がりません。
ある程度SESの働き方に小慣れてくると、そう頑張らなくとも「それなりに仕事をこなす」のが上手くなります。自分もそうでした。
こうなるとぬるま湯となりスキルの成長も停滞していきます。
またWeb系の業界に飛び込んでみると分かりますが、SESで広く浅くをやってきた人とWeb業界のエンジニアでは技術力の差がかなりあると思います。
フロントエンジニアなのか、バックエンドエンジニアなのか、インフラエンジニアなのか自分が何者か語れる人が高く評価される業界なのでキャリアチェンジをするならば早いほうが絶対に後悔しません。
また、SESからの転職を考えた事がある人や働き方に違和感を覚えている人は、うやむやにせずに意思を再確認したほうが良いです。
好きなことや興味は移り変わっても、嫌な事は何年たっても変わらないものです。
私の場合も2年前に退職を検討しましたが、結局考えてるうちに面倒になって辞めて、また辞めたくなってを繰り返してました。
はっきり言って時間の無駄です。
嫌々している開発業務はただの時間の切り売りにしか過ぎず、スキルを高めることも、時間価値を高めることもありません。
ただ「辞めたい意思」を温めていただけの時間でした。
13年も良く続けたなぁと思いつつ、結局のところやめるのが面倒で思考停止してただけなんですよね。
意外と転職のハードルは低い
ちなみに今現在、私は転職してWeb系の自社開発系の企業で働いてます。
Web系の開発経験が浅い部分で苦労しているところもありますが、毎日楽しいです。
「やっぱ、エンジニアってこうだよなぁ」
と学生の頃のワクワク感が蘇ってきた感触。
待遇面でもフレックスだしリモートOKだし、給料はあがるし、過去の自分よ申し訳ない。
転職活動にあたっては転職エージェントを活用。
普通に働きながら就職活動をしてました(笑
はやめに3社ほどアプローチがあって、マッチした2社のカジュアル面談、採用面接を受けました。
Web系の開発とWeb制作会社だったのでこんなSES/Sireぽい経歴で大丈夫か?
と思ってたのですが、両方内定いただきました。
最終的に採用が決まるまでも何社もアプローチがあったり、意外とSESだからどうってことはなくて転職のハードルは高くないです。
転職を躊躇する理由の一つに「転職できないんじゃないか」という人もいるかと思うのですが、そういう方は一度転職しないにしても転職活動をしてみるべきかとおもます。
ほとんどの場合は普通にできます。
エージェントの場合はマッチングしてくれるだけではなく、転職市場の情報をマメに流してくれたり気軽に相談に乗ってくれるので、自分の事情価値やエンジニア市場での立ち位置を確認する意味でもオススメです。